東晋元帝

東晋元帝永昌元年(322年)、東晋元帝が死にました。

東晋時代17 東晋元帝(十七) 司馬氶、甘卓の死 322年(4)

 

ここでは、『晋書・第六・元帝紀』から元帝の為人や予言等に関する記述を紹介します(一部は既述の内容と重複します)

 

元帝は性格が簡倹沖素(倹約・素朴)で、直言を聴き入れ、虚心になって人に接することができました(容納直言,虚己待物)

江東を鎮守したばかりの時、しばしば酒が原因で事を廃したため(誤ったため)、王導がそれを重視して懇切に諫言すると、元帝(当時は琅邪王です)は酌をするように命じ、觴(杯)を引き寄せてから覆して酒を断ちました(西晋懐帝永嘉元年・307年にも書きました)

 

ある時、有司(官員)が上奏して太極殿広室に絳帳(赤い帳)を施すように進言しました。しかし元帝は「漢文(西漢文帝)は上書用の皁囊(黒い袋)を集めて帷にした」と言い、冬は青布を施して帷帳とさせ、夏は青綀(青くて粗い織物)を施して帷帳とさせました。

 

貴人を封拝(選抜・任命)しようとした時、有司が雀釵(髪飾りの一種)を買うように請いましたが、元帝は煩費(浪費)を理由に同意しませんでした。

元帝に寵幸された鄭夫人も、衣服に文綵(華美な装飾、模様)がありませんでした。

 

元帝の従母弟(母の姉妹の子で、自分より年下の者)・王廙が母のために家屋を建てた時、制度を越えていたため、元帝は涙を流してそれを止めさせました。

 

元帝の為人はこのようでしたが、晋室が遘紛(混乱に遭うこと)として、皇輿(皇帝の車)が播越(流亡)しており、天命はまだ改められず、人の計謀が協賛(協力・賛助)して元戎(兵車、軍隊)がしばしば動いても、(支配する地域は)江畿(長江周辺)を出ることなく、区区(わずかな範囲)を経略して呉楚を全うするだけで、最後は下の者が上の者を凌辱して(終于下陵上辱)、憂憤によって別れを告げることになりました(憂憤告謝)。恭倹の徳は充たされていのに、雄武の量が足りなかったからです。

 

かつて秦の時代に望気の者(雲気を観測する者)がこう言いました「五百年後、金陵に天子の気が現れる。」

そのため、始皇帝は東遊して天子の気を厭し(圧し)、その地を秣陵に改名して、北山を穿って気の勢いを絶とうとしました(塹北山以絶其勢)

孫権が帝号を称した時は、自分が天子の気に当たったものだと思いましたが、孫盛(東晋の史家)は始皇帝から孫氏に及ぶまで四百三十七載(年)しか経っていなかったので、その暦数を考察するに、まだその時には及んでいないと判断しました。

元帝が渡江した時は五百二十六年に当たるので、真人(真正の帝王)の応はここにあったのです。

 

咸寧(西晋武帝の年号)の初め、風が吹いて太社(土地神や穀物の神を祀る社)の樹が折れ、社中に青気が現れました。占者は東莞に帝者の祥があるとみなしました。

そこで東莞王を琅邪に改封しました。これが琅邪武王です(琅邪武王は司馬伷といい、司馬懿の子です。司馬伷の子は琅邪恭王・司馬覲で、司馬覲の子が東晋元帝・司馬睿です)

呉が滅亡すると、実際には王濬が先に建鄴に至りましたが、孫皓(呉末帝)は遠くにいる琅邪王に璽を帰させました(西晋武帝太康元年・280年参照)。天意と人事がどちらも中興の兆に符合していたのです。

太安(西晋恵帝の年号)の際、「五馬が浮いて江を渡り、一馬が化して龍になる(五馬浮渡江,一馬化為龍)」という童謡が流行りました。

永嘉(西晋懐帝の年号)の間に、歳・鎮・熒惑・太白が斗・牛の間(全て星の名です)に集まり、識者は呉越の地で王者が興隆すると考えました。

その年、王室が淪覆(滅亡・転覆)しましたが、帝(琅邪王・司馬睿)と西陽王(司馬羕。汝南王・司馬亮の子。司馬亮は司馬懿の子で、八王の乱で死にました)、汝南王(司馬祐。司馬亮の孫)、南頓王(司馬宗。司馬亮の子)、彭城王(司馬雄。司馬雄は彭城王として東晋に仕えましたが、後に蘇峻の乱に参与して誅殺され、弟の司馬紘が彭城王になります。二人の父は彭城康王・司馬釋で、その父は彭城元王・司馬植、司馬植の父は彭城穆王・司馬権です。司馬権は宣帝(司馬懿)の弟・司馬馗の子です)の五王が渡江でき、最後は帝が大位に登りました。

 

以前(魏明帝青龍三年・235年参照)、「玄石図」に「牛が馬の後を継ぐ(牛継馬後)」とあったため、宣帝(司馬懿)は深く牛氏を嫌いました。そこで、二つの榼(酒器、酒壺)を作り、共通の口を一つつけて酒を溜めてから、宣帝が先に佳酒を飲み、その将・牛金に毒酒を飲ませて鴆殺しました。

しかし後に恭王(司馬覲)の妃である夏侯氏が図らずも小吏の牛氏と私通して、元帝を生みました。この事も既に符(兆。「牛継馬後」という予言)が存在していたのです(亦有符云)

 

 

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